2010年3月11日木曜日

期間の定めのある労働契約

労働契約法17条に関する行政解釈によると,



期間の定めのある労働契約の場合,



①使用者は,やむを得ない事由がある場合でなければ、



契約期間中は有期契約労働者を解雇することができないこと。



②「やむを得ない事由」は、



解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも狭いと解されること。



③「やむを得ない事由」があるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、



使用者側が負うものであること。




○労働契約法の施行について
(平成20年1月23日)
(基発第0123004号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略




2 契約期間中の解雇(法第17条第1項関係)
(1) 趣旨



有期契約労働者の実態をみると、契約期間中の雇用保障を期待している者が多くみられるところである。この契約期間中の雇用保障に関しては、民法第628条において、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」ことが規定されているが、「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合の取扱いについては、同条の規定からは明らかでない。
このため、法第17条第1項において、「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合は解雇することができないことを明らかにしたものであること。


(2) 内容


ア 法第17条第1項は、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中は有期契約労働者を解雇することができないことを規定したものであること。


イ 法第17条第1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであることから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも狭いと解されるものであること。


ウ 契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもって法第17条第1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されるものであること。


エ 法第17条第1項は、「解雇することができない」旨を規定したものであることから、使用者が有期労働契約の契約期間中に労働者を解雇しようとする場合の根拠規定になるものではなく、使用者が当該解雇をしようとする場合には、従来どおり、民法第628条が根拠規定となるものであり、「やむを得ない事由」があるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負うものであること。

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