平成27年4月1日が就業開始日
賃金の締切日は毎月25日
賃金の支払日は翌月25日
の場合,
4月に賃金は支給されず,4月の労働分は5月に支給されることになります。
毎月の賃金支払いを命じている労働基準法第24条第2項との関係が問題となります。
結論を述べますと,このような賃金の支給方法は適法です。
まず,確認ですが,労働基準法第24条第2項が毎月の賃金支払いを命じていたとしても,労働者が労働をしていなければ,賃金を支払う必要がないということは理解できると思います。
つぎに,日雇い労働のように,労働日に当日の賃金を支払ってくれる(日払い=日給制)という賃金支払い形態もありますが,通常は,週給制・月給制(1週間分や1ヵ月分をまとめて後払い)ということもご存じだと思います。
民法624条第1項により,雇用(労働)の報酬(賃金)は後払いであること,第2項により,賃金は週給制・月給制でも差し支えないことが定められています。
使用者(経営者)に毎月の賃金支払いが命じられているとしても,法律上の原則として,賃金の支払期限が到来するまでは,賃金を支払う義務はないとされています。
したがって,4月分の労働に対する賃金は,4月に支払う必要はなく,支払期限である5月に支払えばよいことになります。
労働基準法には賃金の締切日(締切期間)や賃金の支払期限についての規定がありません。
労働基準法第24条第2項には,毎月の賃金支払いを命じているので誤解しがちですが,
労働基準法に規定のない賃金の締切日や賃金の支払期限のことも含めて,労働基準法第24条第2項は,解釈しなければなりません。
したがって,賃金の締切期間が翌月にまたがる形の,当月26日から翌月25日までの期間とすることはさしつかえありません。
また,当月の労働に対する賃金を翌月に支払うこともさしつかえありません。
ただし,ある月の労働分の賃金の支払期限が,労働基準法第24条第2項の趣旨に照らして,不当に遅延するような場合は,その支払期限の定めは無効となります。
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民法
労働基準法
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
○2 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。