事件番号
平成23(受)2183
事件名
年次有給休暇請求権存在確認等請求事件
裁判年月日
平成25年6月6日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第67巻5号1187頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成23(ネ)3147
原審裁判年月日
平成23年7月28日
判示事項
労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日と労働基準法39条1項及び2項における年次有給休暇権の成立要件としての全労働日に係る出勤率の算定の方法
裁判要旨
無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は,労働基準法39条1項及び2項における年次有給休暇権の成立要件としての全労働日に係る出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれる。
参照法条
労働基準法39条1項,労働基準法39条2項
全文
②東朋学園事件
事件番号
平成13(受)1066
事件名
損害賠償請求,仮執行の原状回復等を命ずる裁判の申立て事件
裁判年月日
平成15年12月4日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄差戻
判例集等巻・号・頁
集民 第212号87頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成10(ネ)1925
原審裁判年月日
平成13年4月17日
判示事項
1 出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする旨の就業規則条項の適用に関しその基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数等を含めない旨の定めが公序に反し無効とされた事例
2 賞与の額を欠勤日数に応じて減額することを内容とする計算式の適用に当たり産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わずに賞与全額の支払請求を認容した原審の判断に違法があるとされた事例
2 賞与の額を欠勤日数に応じて減額することを内容とする計算式の適用に当たり産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わずに賞与全額の支払請求を認容した原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨
1 出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者としこれに満たない者には賞与を支給しないこととする旨の就業規則条項の適用に関し,出勤率算定の基礎とする出勤すべき日数に産前産後休業の日数を算入し,出勤した日数に上記日数及び育児を容易にするための措置により短縮された勤務時間分を含めない旨を定めた就業規則の付属文書の定めは,従業員の年間総収入額に占める賞与の比重が高いため,上記条項により賞与が支給されない者の受ける経済的不利益が大きく,従業員が産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を受けた場合には,それだけで上記条項に該当して賞与の支給を受けられなくなる可能性が高いという事情の下においては,公序に反し無効である。
2 賞与の額を欠勤日数に応じて減額することを内容とする計算式及びその適用に当たりその基礎となる欠勤日数に産前産後休業の日数及び育児を容易にするための措置により短縮された勤務時間分を含める旨を定めた就業規則の付属文書の定めが無効となる理由を具体的に説示することなく,上記計算式を適用せず,産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わずに賞与全額の支払請求を認容した原審の判断には,違法がある。
(2につき意見及び反対意見がある。)
2 賞与の額を欠勤日数に応じて減額することを内容とする計算式及びその適用に当たりその基礎となる欠勤日数に産前産後休業の日数及び育児を容易にするための措置により短縮された勤務時間分を含める旨を定めた就業規則の付属文書の定めが無効となる理由を具体的に説示することなく,上記計算式を適用せず,産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わずに賞与全額の支払請求を認容した原審の判断には,違法がある。
(2につき意見及び反対意見がある。)
参照法条
民法90条,労働基準法(平成9年法律第92号による改正前のもの)65条,育児休業等に関する法律(平成7年法律第107号による改正前のもの)10条
全文
③NTT事件
事件番号
平成8(オ)1026
事件名
譴責処分無効確認等請求事件
裁判年月日
平成12年3月31日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄差戻
判例集等巻・号・頁
民集 第54巻3号1255頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成6(ネ)3792
原審裁判年月日
平成8年1月31日
判示事項
一箇月に満たない期間に集中的に高度な知識、技能を修得させることを目的として行われる訓練期間中における年次有給休暇の請求に対する時季変更権の行使
裁判要旨
事業遂行に必要な技術者の養成と能力向上を図るため、各職場の代表者を参加させて、一箇月に満たない比較的短期間に集中的に高度な知識、技能を修得させ、これを職場に持ち帰らせることによって、各職場全体の業務の改善、向上に資することを目的として行われた訓練の期間中に、訓練に参加している労働者から年次有給休暇が請求されたときは、使用者は、当該休暇期間における具体的な訓練の内容がこれを欠席しても予定された知識、技能の修得に不足を生じさせないものであると認められない限り、事業の正常な運営を妨げるものとして時季変更権を行使することができる。
参照法条
労働基準法39条4項
全文
④沼津交通事件
事件番号
平成4(オ)1078
事件名
未払賃金
裁判年月日
平成5年6月25日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第47巻6号4585頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成2(ネ)4399
原審裁判年月日
平成4年3月18日
判示事項
タクシー会社の乗務員が月ごとの勤務予定表作成後に年次有給休暇を取得した場合に皆勤手当を支給しない旨の約定が公序に反する無効なものとはいえないとされた事例
裁判要旨
タクシー会社の乗務員に対し、月ごとの勤務予定表どおり勤務した場合には月額三一〇〇円ないし四一〇〇円の皆勤手当を支給するが、右勤務予定表作成後に年次有給休暇を取得した場合には右手当の全部又は一部を支給しない旨の約定は、右手当の支給が代替要員の手配が困難となり自動車の実働率が低下する事態を避ける配慮をした乗務員に対する報奨としてされ、右手当の額も相対的に大きいものではないなどの判示の事情の下においては、年次有給休暇取得の権利の行使を抑制して労働基準法が労働者に右権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものとは認められず、公序に反する無効なものとはいえない。
参照法条
民法90条,労働基準法39条,労働基準法134条
全文
⑤時事通信社事件
事件番号
平成1(オ)399
事件名
懲戒処分無効確認等
裁判年月日
平成4年6月23日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄差戻
判例集等巻・号・頁
民集 第46巻4号306頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
昭和62(ネ)2183
原審裁判年月日
昭和63年12月19日
判示事項
一 労働者が始期と終期を特定してした長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定に対する使用者の時季変更権の行使における裁量的判断
二 通信社の記者が始期と終期を特定して休日等を含め約一箇月の長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をしたのに対し使用者が右休暇の後半部分についてした時季変更権の行使が適法とされた事例
二 通信社の記者が始期と終期を特定して休日等を含め約一箇月の長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をしたのに対し使用者が右休暇の後半部分についてした時季変更権の行使が適法とされた事例
裁判要旨
一 労働者が、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を経ることなく、始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、時季変更権の行使において、右休暇が事業運営にどのような支障をもたらすか、右休暇の時期、期間につきどの程度の修正、変更を行うかに関し、使用者にある程度の裁量的判断が認められるが、右判断は、労働者の年次有給休暇の権利を保障している労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三九条の趣旨に沿う合理的なものであることを要し、使用者が労働者に休暇を取得させるための状況に応じた配慮を欠くなど不合理なものであってはならない。
二 科学技術庁の記者クラブに単独配置されている通信社の社会部記者が、使用者との事前の十分な調整を経ることなく、始期と終期を特定して休日等を含め約一箇月の長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をしたのに対し、使用者が右休暇の後半部分について時季変更権を行使した場合において、当時、社会部内において専門的知識を要する右記者の担当職務を支障なく代替し得る記者を長期にわたって確保することが困難であり、また、右単独配置は企業経営上のやむを得ない理由によるものであったなど判示の事情があるときは、右時季変更権の行使は適法である。
二 科学技術庁の記者クラブに単独配置されている通信社の社会部記者が、使用者との事前の十分な調整を経ることなく、始期と終期を特定して休日等を含め約一箇月の長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をしたのに対し、使用者が右休暇の後半部分について時季変更権を行使した場合において、当時、社会部内において専門的知識を要する右記者の担当職務を支障なく代替し得る記者を長期にわたって確保することが困難であり、また、右単独配置は企業経営上のやむを得ない理由によるものであったなど判示の事情があるときは、右時季変更権の行使は適法である。
参照法条
労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)39条3項
全文
⑥エス・ウント・エー事件
事件番号
平成2(オ)1860
事件名
賃金等
裁判年月日
平成4年2月18日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
集民 第164号67頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
平成1(ネ)3341
原審裁判年月日
平成2年9月26日
判示事項
就業規則の規定が労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三九条一項に違反し無効であるとされた事例
裁判要旨
国民の祝日、勤務を要しない土曜日等を休日である日曜日とは別の「一般休暇日」と定め、これらが労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三九条一項にいう全労働日に含まれるものとした就業規則の規定は、当該職場における勤務関係においてこれらが休日と実質的に異ならない取扱いがされているときは、同項に違反し無効である。
参照法条
労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)39条1項
全文
⑦国鉄津田沼電車区事件
事件番号
平成2(オ)576
事件名
賃金
裁判年月日
平成3年11月19日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第45巻8号1236頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
昭和63(ネ)3141
原審裁判年月日
平成2年1月31日
判示事項
労働者が自己の所属する事業場における争議行為に参加する目的をもって職場を離脱した場合と年次有給休暇の成否
裁判要旨
労働者が請求していた年次有給休暇の時季指定日に、たまたまその所属する事業場において予定を繰り上げてストライキが実施されることになり、当該労働者が、右ストライキに参加しその事業場の業務の正常な運営を阻害する目的をもって、右請求を維持して職場を離脱した場合には、右請求に係る時季指定日に年次有給休暇は成立しない。
参照法条
労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)39条
全文
⑧
事件番号
昭和59(オ)303
事件名
賃金
裁判年月日
平成元年12月22日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄差戻
判例集等巻・号・頁
集民 第158号805頁
原審裁判所名
大阪高等裁判所
原審事件番号
昭和58(ネ)985
原審裁判年月日
昭和58年12月23日
判示事項
前年の稼働率によって従業員を翌年度の賃金引上げ対象者から除外する旨の労働協約条項の一部が公序に反し無効とされた事例
裁判要旨
すべての原因による不就労を基礎として算出した前年の稼働率が八〇パーセント以下の従業員を翌年度のベースアップを含む賃金引上げの対象者から除外する旨の労働協約条項は、そのうち労働基準法又は労働組合法上の権利に基づくもの以外の不就労を稼働率算定の基礎とする部分は有効であるが、右各権利に基づく不就労を稼働率算定の基礎とする部分は公序に反し無効である。
参照法条
民法90条,労働基準法39条,労働基準法65条,労働基準法66条,労働基準法67条,労働基準法68条,労働基準法76条,労働組合法2章,労働組合法14条,労働組合法16条,憲法28条
全文
⑨日本シェーリング事件
事件番号
昭和58(オ)1542
事件名
賃金
裁判年月日
平成元年12月14日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄差戻
判例集等巻・号・頁
民集 第43巻12号1895頁
原審裁判所名
大阪高等裁判所
原審事件番号
昭和56(ネ)719
原審裁判年月日
昭和58年8月31日
判示事項
前年の稼働率によって従業員を翌年度の賃金引上げ対象者から除外する旨の労働協約条項の一部が公序に反し無効とされた事例
裁判要旨
すべての原因による不就労を基礎として算出した前年の稼働率が八〇パーセント以下の従業員を翌年度のベースアップを含む賃金引上げの対象者から除外する旨の労働協約条項は、そのうち労働基準法又は労働組合法上の権利に基づくもの以外の不就労を稼働率算定の基礎とする部分は有効であるが、右各権利に基づく不就労を稼働率算定の基礎とする部分は公序に反し無効である。
参照法条
民法90条,労働基準法39条,労働基準法65条,労働基準法66条,労働基準法67条,労働基準法68条,労働基準法76条,労働組合法第2章,労働組合法14条,労働組合法16条,憲法28条
全文
⑩電電公社関東電気通信局事件
事件番号
昭和62(オ)1555
事件名
懲戒処分無効確認等請求事件
裁判年月日
平成元年7月4日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第43巻7号767頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
昭和60(ネ)3628
原審裁判年月日
昭和62年8月6日
判示事項
一 勤務割による勤務予定日についての年次休暇の時季指定に対し使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずにした時季変更権の行使が適法である場合
二 勤務割による勤務予定日についての年次休暇の時季指定に対し使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずにした時季変更権の行使が適法とされた事例
二 勤務割による勤務予定日についての年次休暇の時季指定に対し使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずにした時季変更権の行使が適法とされた事例
裁判要旨
一 労働者が勤務割による勤務予定日につき年次休暇の時季指定をしたのに対し、使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずに時季変更権を行使した場合であつても、当該事業場における勤務割の変更の方法及びその頻度、使用者の従前の対応、代替勤務の可能性、週休制の運用、当該時季指定の時期などに照らして、使用者が通常の配慮をしたとしても代替勤務者を確保して勤務割を変更することが客観的に可能な状況にないときには、右時季変更権の行使は適法である。
二 労働者が勤務割による勤務予定日につき年次休暇の時季指定をしたのに対し、使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずに時季変更権を行使した場合であつても、当該職場では、週休日についての勤務割の変更はほとんど行われず、年次休暇の時季指定により要員不足を生じたときには専ら管理者による欠務補充の方法がとられていて、その日が週休予定の職員に対し勤務割変更の上出勤が命じられることはおよそあり得ないとの認識が労使間に定着しており、また、右勤務予定日については、当時の成田空港開港反対闘争に関連する異常事態により管理者による欠務補充の方法をとることができない状況にあつたなど判示の事情の下においては、右時季変更権の行使は適法である。
二 労働者が勤務割による勤務予定日につき年次休暇の時季指定をしたのに対し、使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずに時季変更権を行使した場合であつても、当該職場では、週休日についての勤務割の変更はほとんど行われず、年次休暇の時季指定により要員不足を生じたときには専ら管理者による欠務補充の方法がとられていて、その日が週休予定の職員に対し勤務割変更の上出勤が命じられることはおよそあり得ないとの認識が労使間に定着しており、また、右勤務予定日については、当時の成田空港開港反対闘争に関連する異常事態により管理者による欠務補充の方法をとることができない状況にあつたなど判示の事情の下においては、右時季変更権の行使は適法である。
参照法条
労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)39条3項
全文
⑪横手統制電話中継所事件
事件番号
昭和60(オ)989
事件名
懲戒処分無効確認等
裁判年月日
昭和62年9月22日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等巻・号・頁
集民 第151号657頁
原審裁判所名
仙台高等裁判所 秋田支部
原審事件番号
昭和58(ネ)77
原審裁判年月日
昭和60年6月17日
判示事項
勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合に休暇の利用目的を考慮して勤務割変更の配慮をせずに時季変更権を行使することの許否
裁判要旨
勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合であつても、使用者が、通常の配慮をすれば勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能であるときに、休暇の利用目的を考慮して勤務割変更のための配慮をせずに時季変更権を行使することは、許されない。
参照法条
労働基準法39条
全文
⑫弘前電報電話局事件
事件番号
昭和59(オ)618
事件名
懲戒処分無効確認等
裁判年月日
昭和62年7月10日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等巻・号・頁
民集 第41巻5号1229頁
原審裁判所名
仙台高等裁判所
原審事件番号
昭和58(ネ)123
原審裁判年月日
昭和59年3月16日
判示事項
勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合に休暇の利用目的を考慮して勤務割変更の配慮をせずに時季変更権を行使することの許否
裁判要旨
勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合であつても、使用者が、通常の配慮をすれば勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能であるときに、休暇の利用目的を考慮して勤務割変更のための配慮をせずに時季変更権を行使することは、許されない。
参照法条
労働基準法39条
全文
⑬夕張南高校事件
事件番号
昭和57(行ツ)166
事件名
懲戒処分取消
裁判年月日
昭和61年12月18日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
集民 第149号341頁
原審裁判所名
札幌高等裁判所
原審事件番号
昭和50(行コ)10
原審裁判年月日
昭和57年8月5日
判示事項
公立高校の教諭らが教職員組合の動員指示に従つて年次休暇権を行使して集会等に参加した行動が同盟罷業に当たらないとされた事例
裁判要旨
公立高校の教諭らが、教職員組合の三割動員の指示に従い、授業予定日の半日につき年次休暇の時季指定をして地区労主催の集会等に参加した場合であつても、右動員指示が、適法な時季変更権の行使を無視することまで指示したものではなく、各事業場における業務の正常な運営の阻害を目的としたものでないときは、右教諭らの行動は、年次休暇に名を籍りた同盟罷業ということはできない。
参照法条
労働基準法39条3項,地方公務員法32条,地方公務員法35条,地方公務員法37条
全文
⑭高知郵便局事件(労働基準法39条第6項計画年休の新設前の事件)
事件番号
昭和55(行ツ)14
事件名
行政処分取消
裁判年月日
昭和58年9月30日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄差戻
判例集等巻・号・頁
民集 第37巻7号993頁
原審裁判所名
高松高等裁判所
原審事件番号
昭和51(行コ)2
原審裁判年月日
昭和54年11月21日
判示事項
郵政事業職員の年次有給休暇のうち所属長が年度の初頭に職員の請求により各人別に決定した休暇付与計画による休暇についての年度の途中における時季変更権行使の要件
裁判要旨
郵政事業に勤務する職員の年次有給休暇のうち、所属長が年度の初頭において職員の請求により業務の繁閑等をしんしゃくして各人別に決定した休暇付与計画による休暇についての年度の途中における時季変更権の行使は、計画決定時には予測できなかつた事態発生の可能性が生じた場合において、かつ、右事態発生の予測が可能になつてから合理的期間内に限り、許される。
参照法条
労働基準法39条3項
全文
⑮電電公社此花電報電話局事件
事件番号
昭和53(オ)558
事件名
給料
裁判年月日
昭和57年3月18日
法廷名
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第36巻3号366頁
原審裁判所名
大阪高等裁判所
原審事件番号
昭和51(ネ)654
原審裁判年月日
昭和53年1月31日
判示事項
一 労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちにされた使用者の時季変更権行使の効力
二 労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちにされた使用者の時季変更権行使の効力が認められた事例
二 労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちにされた使用者の時季変更権行使の効力が認められた事例
裁判要旨
一 労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちに使用者が時季変更権を行使した場合であつても、労働者の右休暇の請求がその指定した期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかつたようなときには、客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、適法な時季変更権の行使があつたものとしてその効力を認めるのが相当である。
二 使用者の年次有給休暇時季変更権の行使が、労働者の指定した休暇の期間が開始し又は経過したのちにされたものであつても、労働者の右休暇の請求が一日又は午前中二時間の期間につき当日の朝宿直員を通じてされたため事前に時季変更権を行使する時間的余裕がなかつたものであり、また、右休暇の請求は事業の正常な運営を妨げるおそれがあつたが、使用者において、労働者が休暇を必要とする事情のいかんによつてはこれを認めるのを妥当とする場合があると考えて休暇の理由を聴取するため時季変更権の行使を差し控え、その後労働者がこれを明らかにすることを拒んだため右のような考慮をする余地がないことが確定的になつた時点に至つてはじめて、かつ、遅滞なく時季変更権の行使をしたなど、判示の事情のもとにおいては、右時季変更権の行使は適法にされたものとしてその効力を認めるのが相当である。
二 使用者の年次有給休暇時季変更権の行使が、労働者の指定した休暇の期間が開始し又は経過したのちにされたものであつても、労働者の右休暇の請求が一日又は午前中二時間の期間につき当日の朝宿直員を通じてされたため事前に時季変更権を行使する時間的余裕がなかつたものであり、また、右休暇の請求は事業の正常な運営を妨げるおそれがあつたが、使用者において、労働者が休暇を必要とする事情のいかんによつてはこれを認めるのを妥当とする場合があると考えて休暇の理由を聴取するため時季変更権の行使を差し控え、その後労働者がこれを明らかにすることを拒んだため右のような考慮をする余地がないことが確定的になつた時点に至つてはじめて、かつ、遅滞なく時季変更権の行使をしたなど、判示の事情のもとにおいては、右時季変更権の行使は適法にされたものとしてその効力を認めるのが相当である。
参照法条
労働基準法39条
全文
⑯
事件番号
昭和51(行ツ)28
事件名
給与並びに慰藉料等
裁判年月日
昭和53年12月8日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
集民 第125号815頁
原審裁判所名
高松高等裁判所
原審事件番号
昭和50(行コ)3
原審裁判年月日
昭和50年12月25日
判示事項
他の事業場における争議行為への参加と年次有給休暇の成否
裁判要旨
その所属する事業場以外の事業場における争議行為に休暇中の労働者が参加したかどうかは、年次有給休暇の成否に影響しない。
参照法条
労働基準法39条
全文
⑰林野庁白石営林署事件
事件番号
昭和41(オ)848
事件名
未払賃金請求
裁判年月日
昭和48年3月2日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第27巻2号191頁
原審裁判所名
仙台高等裁判所
原審事件番号
昭和40(ネ)76
原審裁判年月日
昭和41年5月18日
判示事項
一、労働基準法三九条三項にいう「労働者の請求する時季」の意義
二、始期と終期を特定してされた年次有給休暇の時季指定の法的効果
二、始期と終期を特定してされた年次有給休暇の時季指定の法的効果
裁判要旨
一、労働基準法三九条三項にいう「労働者の請求する時季」とは、労働者の指定する時季にほかならず、そこにいう「時季」とは、季節をも含めた時期を意味するものと解すべきである。
二、労働基準法三九条に基づき、労働者が、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で、始期と終期を特定して休暇の時季指定をしたときは、客観的に同条三項但書所定の事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしないかぎり、右の指定によつて年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解すべきである。
二、労働基準法三九条に基づき、労働者が、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で、始期と終期を特定して休暇の時季指定をしたときは、客観的に同条三項但書所定の事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしないかぎり、右の指定によつて年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解すべきである。
参照法条
労働基準法39条
全文
⑱国鉄郡山工場事件
事件番号
昭和41(オ)1420
事件名
賃金請求
裁判年月日
昭和48年3月2日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄自判
判例集等巻・号・頁
民集 第27巻2号210頁
原審裁判所名
仙台高等裁判所
原審事件番号
昭和39(ネ)448
原審裁判年月日
昭和41年9月29日
判示事項
一、年次有給休暇制度と休暇の利用目的
二、労働基準法三九条三項但書にいう「事業の正常な運営を妨げる」か否かの判断基準
二、労働基準法三九条三項但書にいう「事業の正常な運営を妨げる」か否かの判断基準
裁判要旨
一、年次有給休暇における休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由であると解すべきである。
二、労働基準法三九条三項但書にいう「事業の正常な運営を妨げる」か否かは、当該労働者の所属する事業場を基準として判断すべきである。
二、労働基準法三九条三項但書にいう「事業の正常な運営を妨げる」か否かは、当該労働者の所属する事業場を基準として判断すべきである。
参照法条
労働基準法39条
全文