2016年12月8日木曜日

明日からこなくてよい,クビだ,と言われたら(札幌)



当事務所では,解雇(クビ)などの労働相談を承っています。


札幌市中央区 石原拓郎 司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所
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http://ishihara-shihou-gyosei.com/
TEL:011-532-5970



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社長や上司が,「明日からこなくてよい。クビだ。」と言われたら,


売り言葉に買い言葉で,


労働者は,「じゃ,今日で辞めます。」と言っていけません。


合意退職が成立する可能性があるからです。


合意退職の成立があったと判断される場合,解雇予告手当(最大30日分の給料)を請求することはできません。


とくに,会社側からサインを求められた「退職願や辞職願」というような書面には,サインを拒絶しましょう。


これらの書面は,会社側に有利な内容になっているからです。


したがって,労働者が取るべき対応は,「解雇ですね。」と確認することです。


解雇であれば,最悪でも解雇予告手当(最大30日分の給料)を請求できますし,


解雇無効を主張して,労働をしていなくても給料を請求することができる場合があります。


*労働者が返答に困るようであれば,「返答はせずに無視して帰宅し,すぐに労働相談することが重要です。」



















2016年12月1日木曜日

有期労働契約の無期転換を否定した判例





裁判官櫻井龍子の補足意見の中の,


「原審の判断を,仮に,判例が積み重ねてきたいわゆる雇止め法理,あるいは労働契約法19条2号の判断枠組みを借用して判断したものととらえることができると しても,


雇止め法理は,有期労働契約の更新の場合に適用されるものとして形成, 確立されてきたものであり,


本件のような有期労働契約から無期労働契約への転換 の場合を想定して確立されてきたものではないことに原審が十分留意して判断した のか疑問である。


すなわち,原審は無期労働契約に移行するとの被上告人の期待に客観的合理性が 認められる旨の判断をしているが,


有期労働契約が引き続き更新されるであろうと いう期待と,無期労働契約に転換するであろうという期待とを同列に論ずることが できないことは明らかであり,


合理性の判断基準にはおのずから大きな差異がある べきといわなければならない。


無期労働契約への転換は,いわば正社員採用の一種 という性格を持つものであるから,本件のように有期労働契約が試用期間的に先行 している場合にあっても,なお使用者側に一定範囲の裁量が留保されているものと 解される。そのことを踏まえて期待の合理性の判断が行われなければならない。 」


との部分が参考なりました。


破棄された原審の判断を見た際に,最高裁判所第三小法廷平成2年6月5日判決民集44巻4号668頁神戸弘陵学園高校雇用契約更新拒絶事件」のことを思い出しました。


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事件名 労働契約上の地位確認等請求事件      
裁判年月日 平成28年12月1日      
法廷名 最高裁判所第一小法廷  
原審裁判所名
 福岡高等裁判所
原審事件番号
 平成26(ネ)243
原審裁判年月日
 平成26年12月12日
判示事項
裁判要旨
 私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約が3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえないとされた事例
     
最高裁判所HP 全文


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2016年10月3日月曜日

厚生年金未加入者、卸・小売業が最多…厚労相



企業側も厚生年金保険料の負担を求められますが,


労働者側も厚生年金保険料の負担を求められます。


消滅時効にかかっていない過去2年分の厚生年金保険料を労働者も負担しないといけませんので,その調整をどうするのでしょうか?


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2016年10月03日 14時27分

塩崎厚生労働相は3日午前の衆院予算委員会で、約200万人と推計される厚生年金の未加入者について、業種別では卸売業や小売業が最も多く、次いで製造業、その他サービス業が多いとするサンプル調査の結果を明らかにした。
 サンプル数が少ないため、厚労省は62万事業所を対象にした詳細な調査を実施しているという
 これに関連し、安倍首相は「働きかけをしていきたい」と述べ、厚生年金への加入を指導する取り組みを強化する考えを示した。民進党の長妻昭氏の質問に答えた。

読売新聞HP

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2016年9月21日水曜日

年金 強制徴収を拡大



平成28年10月1日から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がりますので,


それとの平仄を合わせたのではないでしょうか?


国民年金保険料の強制徴収の対象者を広げることで,本来,厚生年金保険に加入義務がある未加入者を洗い出すことができるからです。


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年金 強制徴収を拡大 
所得300万円以上に 納付率上げ 

2016/9/20付
日本経済新聞 朝刊




厚生労働省と日本年金機構は、国民年金保険料の強制徴収の対象を広げる。現在は年間所得350万円以上の滞納者に実施しているが、2017年度から300万円以上にする。


日本経済新聞HP
http://www.nikkei.com/article/DGKKASGC16H1B_Z10C16A9MM8000/


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2016年7月8日金曜日

歓送迎会後の交通事故に関する労災の判例

地裁と高裁は労災認定を否定しましたが,最高裁は破棄自判して労災認定を肯定しました。


歓送迎会が会社の支配下にあるといえるのか?


歓送迎会終了後の中国人研修生をアパートまで送迎することが会社の支配下にあるといえるのか?


という2点が論点になりましたが,


最高裁は,詳細な事実認定に基づいて,いずれの点についても会社の支配下にあったとして,中国人研修生を同乗させてアパートに向かう途上での交通事故による労働者の死亡について,労災認定を肯定しました。


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事件番号 平成26(行ヒ)494     
事件名 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件      
裁判年月日 平成28年7月8日      
法廷名 最高裁判所第二小法廷              
裁判種別 判決     
結果 破棄自判     

判示事項       
裁判要旨
 労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例
参照法条
全文(最高裁HP)
全文

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2016年5月27日金曜日

顧問社労士の言動などが不当労働行為に当たるとされた中労委命令



社会保険労務士の職務として,労働組合員及び労働組合への対応につき,不当労働行為に該当することがないようにしなければなりません。


組合からの脱退工作、組合不信を煽る言動などは,差し控えるべきです。


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中央労働委員会第三部会(部会長三輪和雄)は、平成28年5月24日、標記事件に関する命令書を関係当事者に交付しましたので、お知らせします。

命令の概要は、次のとおりです。



【命令のポイント】
~面談における社労士の言動及び当該面談に関する団体交渉における会社の対応は不当
労働行為に当たるとした事案~
退職を示唆し、組合加入を問題視する顧問社労士の言動は、支配介入行為に当たり、会社が社労士に組合員と会社間の労働問題の処理を依頼し、当該支配介入行為が行われたのであるから、会社の行為というべきもので、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
また、第1回団体交渉での自らの回答について的確に説明するべき立場にあった社長を出席させず、同団体交渉終了時の見解と異なる見解に至った経緯や理由を具体的に説明しなかった会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。



詳細は,中央労働委員会HP
http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/futou/dl/shiryou-28-0525-1.pdf


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2016年2月19日金曜日

賃金や退職金を減額する労働条件の変更に関する判例



最高裁判所は,


賃金や退職金の減額に関する労働者の同意は,労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも判断されるべきとして,


同意書に対する署名押印の存在という形式的な基準ではなく,実質的な判断基準を示して,破棄差し戻しました。


変更後の労働条件によると退職金が0円となる可能性が高かったことが,重視されたのではないでしょうか。




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労働契約の内容である労働条件は,労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであり,このことは,就業規則に定められている労働条件を労働者の不利益に変更する場合であっても,その合意に際して就業規則の変更が必要とされることを除き,異なるものではないと解される(労働契約法8条,9条本文参照)。


もっとも,使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても,労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており,自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば,当該行為をもって直ちに労働者の同意があったものとみるのは相当でなく,当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は慎重にされるべきである。


そうすると,就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきものと解するのが相当である(最高裁昭和44年(オ)第1073号同48年1月19日第二小法廷判決・民集27巻1号27頁,最高裁昭和63年(オ)第4号平成2年11月26日第二小法廷判決・民集44巻8号1085頁等参照)。


したがって,本件基準変更に対する管理職上告人らの同意の有無につき,上記のような事情に照らして,本件同意書への同人らの署名押印がその自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から審理を尽くすことなく,同人らが本件退職金一覧表の提示を受けていたことなどから直ちに,上記署名押印をもって同人らの同意があるものとした原審の判断には,審理不尽の結果,法令の適用を誤った違法がある。


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として,東京高等裁判所へ破棄差し戻しました。



事件番号 平成25(受)2595     
事件名 退職金請求事件      
裁判年月日 平成28年2月19日      
法廷名 最高裁判所第二小法廷              
裁判種別 判決     
結果 破棄差戻     
  
判示事項
裁判要旨
 1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無についての判断の方法
2 合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,上記の変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断に違法があるとされた事例

最高裁判所HP